『音叉 ──もうひとりの自分の物語──』




音叉を響かせたのは、だれ?


音叉を鳴らしたのは、だれ?




音叉は響きあい、唸りあって、静寂のなかにひろがってゆく──


向かい合う双子のように──


鏡のなかの自分のように──


いつまでも、いつまでも──


共鳴は止むことなく、仏者の錫杖の音色の如くに、静寂の中へと──


いつまでも、どこまでも──





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